ものがみえる仕組み

レンズ(角膜と水晶体)を通って入ってきた光(画像)に、ピント(毛様体と水晶体)を合わせて、フィルム(網膜)に画像を写し出します。その画像が、視神経(脳に見たものを伝える)を伝わって脳へ送られると、「ものを見た」と感じられます。カメラにたとえると、水晶体がレンズ、網膜がフィルムの役割を果たしています。

黄斑の役割


網膜のなかでもっとも重要な部分は、ものを見る中心となる黄斑です。黄斑は視力にもっとも関わりが深く、色を識別する細胞のほとんどはこの部分にあります。
黄斑に異常が発生すると、視力に低下を来します。また黄斑の中心部には中心窩という部分があり、ここに異常が生じると、視力の低下がさらに深刻になります。

眼底検査について

検査は瞳を大きくする目薬を30分程度点眼し、準備します。実際の検査は5分程度ですが瞳が大きい状態が6時間ほど続き、その間は近くのものが見にくかったり、まぶしかったりするのでデスクワークや車の運転は難しくなります。

眼底とは眼球の後ろ側をさす言葉で、硝子体(しょうしたい)・網膜(もうまく)・脈絡膜(みゃくらくまく)・視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)といったものの総称です。眼底検査ではこれらを写真に撮影するか、実際に医師が目で見て観察します。
眼底は人体で唯一血管の状態を直接肉眼で観察できるポイントです。眼底の血管に異常が起きていれば、眼底以外の血管も同じように影響が現れている可能性が高いと考えられます

『黒いものが飛ぶ』『ピカッと光ることがある』などの症状のある方は、目薬にて瞳を開き(散瞳)詳しい眼底検査を行う場合があります。

蛍光眼底検査

血液の流れの状態や、通常の眼底検査では発見できない病変の状態を詳しく調べることができます。腕の血管に蛍光色素(フルオレセイン)を注射してから眼底を調べます。蛍光色素によって血管だけが浮き彫りになりますから、血管の弱い部分やつまったところがよく分かります。血液に入った色素は蛍光を発しますので、フィルターを通すと白く写ります。毛細血管が詰まっている部分は暗く写るため、正常な部分とはっきり区別することができます。
網膜の血管から血液の成分が漏れているかどうか、漏れていればその場所はどこか、といったことも判定できます。糖尿病網膜症の場合、レーザー光凝固術が必要かどうかを判断するうえで、蛍光眼底造影検査は大きな助けになります。糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症などの診断には欠かせない検査です。

光干渉断層計(OCT)

網膜光凝固術

レ-ザ-をあてて光凝固(ひかりぎょうこ=人工的な火傷)を作り、病気の進行を抑えます。糖尿病網膜症、網膜裂孔などの眼底疾患に対して行われる治療法です。